げきてつをおこせ

寒波きて寒いというわりに、そんなでもない。

降る降る詐欺だ。

まあ言いがかりだよ、人間からの。雪の確率が徐々に落ちていくのが観ていて面白。

雪道もノーマルで走っているのであんまり降って欲しくないし。

 

いましがた森山君主演の「苦役列車」をみた。

原作とは大きく異なる下地のようだった。

映画のほうはブレイクスルーの瞬間を描いていた。

エンドロールに流れ出した曲がまさかと思ったらドレスコーズだった。

(ブルーってゲイって隠語にもなるんだがたぶん関係ない)歌詞はライクアローリングストーンのようで、どんな気分か、いっそ終わりにしてくれって。

正直志磨氏の楽曲にいまいちピンときてなかったけど、苦役列車後の


ドレスコーズ - Trash(medium version)

これでやっと腑に落ちた。曲の展開もカタルシス~↑だ。

この曲のほうが原作テーマに忠実な分、最後のマキタスポーツがテレビに出てるシーンくらいからホントはないほうがいいんだろうけど。

だってさ、女も安定した生活も友達もいないやつはそのまんまじゃ駄目なのかよってことでさ。

 ただ、最近悪魔教会が推奨しないことと教会の11か条に感銘を受けたばかりなので、主人公の言動のいくつかはちょっと微妙なところなのだが。

 ありのままって言葉って難しいよね。

 ありのままでいいよって間違った方向から、のべつ幕無し生暖かい言葉をいっちゃう責任のなさを弾糾しているの?そのへんじっくりヨシキさんに教えてもらいたいところだけど、悪魔教会の教義は真っ当すぎる。真っ当すぎて苦役側から見たら向こう側の人かもしれん。

 が、人間はそもそもほかの動物のように美しい生態系の一部にもなれんし、無意味に殺しを行うし、あほなくせして知能が高いとか思ってるし意味がない上、基本がクソしようもねえ生き物だからありのまま以外でいようもないんだぜ。馬鹿だから。馬鹿だから悪魔教会の11か条を最低限心得ようねってことなんだけど。

 そんなんひっくるめて考えると苦役列車の主人公はなんて豊かなんだと思う。 

 自分はゴリラか狼に生まれたかった。そしたら今よりずっと幸せだった。

 だけど、自分がゴリラや狼に生まれていたら、ゴリラ自身や狼自身の美しさや素晴らしさに気付くことはなかったかもしれない。

 

 それから最近見た映画でぴか一で素晴らしかったのは「息も出来ない」だ。

 

 

  サンフン(↑右)を無条件で好きになってしまう作品だ。

 そんなどこで売ってるの?みたいな長袖ポロシャツを着て、出所してきた親父を殴り倒し、子分も殴りながら取立てをこなし、道ですれ違った女子高生を失神させたきっかけで、彼女をたまに呼び出し買い物いったり夜店で酒飲んだりな日々を送っているおっさんが主人公なんだ。

 意外とまわりの人たちの言うこと聞く素直な一面もありどうしようもなくかわいい。ちょっと柴犬みたいな顔つきで目が特にかわいい。ボクサーみたいな猫背もかわいい。

 

 ラストはなんで~!って号泣必至。だが、因果応報。その流れをじっくり見せられていく内容でもあるので、悪い意味、逆のパターンでの情けはひとのためならず、己の言動は己に帰るわけでどうしようもない。

 それに、監督自身が長年心の底に沈めてきた暗黒面と対面し、それをキャラとして取り出した結果、葬る必然性があったと聞いて、もう納得するしかなかった。

 自分が一番ぐっときたシーンはサンフンが親父のふりして、近所のガキと遊んでる甥っ子にお菓子持ってくるとこ。暴力でしか自己表現ができないサンフンが実は物凄い繊細な心を持っていることがわかるシーンだし、だから周りの人間より余計に辛いし傷ついてきた少年だったことが表現されてんだよここ。別に泣くシーンじゃないんだろうが自分はここで目から水がとまらなかった。

 

 もう素晴らしすぎて、ここ最近、すごい作品見すぎて基準がおかしくなっている。

 

 逆にここ数日で見た映画で一番つまらなかったのは「わたしを離さないで」でした。

 うん、原作は読んでないけど映画は確実につまらなかった。最後、だから?!ってつっこませる威力のみ。