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座長!!座長の匂いがこの手に残っています。

 いつものように4時起きだ。

 バイト先でさぼり癖のある座敷童に殺気向けながら作業を煽り、なんとか朝といえるうちに終わらせ、繁華街へ。

 ずっと予定があわなかった。

 大衆演劇の観劇。やっぱ体感するって大事やん。

 新人が多いせいでバイトが押すからよう~なかなか昼の部に間に合えず、さらに敬老の日とか台風とかで夜の部もなくなったから伸びに伸びた。今朝、バイトメンバーに「いいかげん俺を早く帰らせろ、もう今日しかねえんだよ明日明後日は派遣で終日つぶれんだよ!千秋楽も近づいてんだよ!」の圧を「今日はほっんとに早く帰りたい」の一言に(殺意)こめたかいあった。もう~ぼやぼやしてると今年も終わっちゃうぜ?くらい日々すぎるのが早い。

 でも時間帯がよかったから、移動はすいすい。

 ドンキビルの駐車場にも、するーっと入れたので速攻、劇場にいってみた。

 整理券がどうこうってHPに載っていたから、とにかく早くいって座席券買わねば!とエレベーター乗ったら、親子らしき方と乗り合わせた。

 暗い劇場フロアーについたらその親子はすーっと劇場の暖簾をくぐっていった。

 発券機の前で立ち尽くす俺。とりあえず券買えばいいの?と。お札を機械に入れてみたが、電源はいってない。

 きっと早すぎたんだ。とあきらめて一階に戻って、お楽しみのとんかつ屋へいった。

 そしたら、劇場の入場時間から営業時間というまさかのバッティング。もちろん芝居が終わる時間も昼の営業が終わるころだった。がってーむ!!

 泣く泣くモスで昼済ませて(ライスバーガーまいうー!)出直し。

 早々と乗り込んだおばちゃんたちと待合で時間をつぶすが、ちゃんと電気も電源も入っていたから自販機で券購入。なぜか俺が買ったらたむろっていたおばちゃんたちも買い始めた。

 んで、入場促されたので受付でおねえさんに初めて来たんだけどシステムがわからないと説明をお願いしたら、すごい気さくに劇場にも連れて行ってくれて好きな席選んでいいよと言われた。前のほうは300円プラスしたら来た順に好きなとこ選べるようになってた。

 でも、ほら僕って極度の人見知りじゃないですか。観劇の時、役者さんと目があうと超気まずいというあれがあったから、ふつうに後方でいいですと遠慮しておく。

 だって、なつかしの愛地球博で、JAシーザー氏によるあの舞台、「わたくしといふ現象は假定された有機交流電燈のひとつの青い照明です」から始まる。で、もんのすげー涙こみ上げるくらい感動したけど、そのとき役者さんと目が合ってね。僕はどうしたかっていうと耐え切れずそっと目線を伏せたよ。それからというもの観劇するときはなるべく視線が来なさそうな位置に座席をとることにしたよ。

 それにしたって開演まで小一時間あったからいろいろして時間つぶしてたけど、写真とるとかもやることなくなって激しい眠気に襲われだしたころ、受付のおねーさんが焼きたてのじゃがいもドーナツいかがですか~!って。

 思わず席を立って買いに行った。そんで近くの円卓の席に着いたらおばちゃんたちと相席になった。持参の弁当を食べるおねーさんと、ドーナツ食いながら受付のおねーさんに淹れてもらったコーヒーすすって新聞読む俺。なにこのくそほのぼの空間。そしてお客さんの雑談にも結構貴重な情報があったので耳ダンボで聞いておく。開演まで微妙にドキドキしてたけど、お客さんの雰囲気で安心したよ。

 始まってすぐわかったけど大衆演劇って、もっとね、贔屓さんたちだけで盛り上がる排他的なもんかとおもったら全然違ったね。すんごいリラックスして楽しめるショーでした。

 映画で最初のものの10秒くらいで「あ!この映画当たりや!」ってわかるのと同じで、大衆演劇の舞台始まってすぐ「おっ、こりゃ、最後まで楽しめるわー!」ってほっとした。少し前に日本元気村という芝居のテーマパークで痛い目にあったからな。そこにいる半日、俺の美意識を逆なでするような元気式おもてなしが終始続いたが、美意識の摩耗で死ぬかと思った。エンターテイメントを根本的にはき違えたものを見せられ続けると死に至りかねんということをそこで初めて知ったよ。自分のHPが赤色になってんのがはっきり見えたもんね。ずーっとかかってるテーマソングが敷地内をすべて毒の沼地化していたのであと、三歩歩いたら死ぬ!って思ったとき「もうここから出たい!」って半泣きで周囲に訴えてしまったぐらい。

 そのテーマパークつぶれたけどね。るろ剣のロケとかにも使われたぐらいだったのにね。でもそうなって然りとしか思えないあれは。僕が観劇中、胡坐かいて真下向いてうなだれてたという状態を作ったのは後にも先にもあそこしかないと思うわ。

 うってかわって素敵な大衆演劇は座長さんのクローン?ぐらいの息子さんらしき看板役者さんとか女の人(エレベーター乗り合わせた方だった)とか指先まで所作がきれいで見とれた。なんかバックボーンとか考えてしまってたくましい想像力が捗って途中から舞踊とかちゃんと見てなくて、あかーん!!って我に返って必死で見る。必死で見ながらやっぱ自分で見に来てよかった~と実感する。担当さん勧めてくれてありがとうと思った。想像だけでは補いきれん部分がたくさんあるんだよ。見るだけでも体験って大事だな~。あと座長の目で殺してくる攻撃には距離でなんとか耐えた。どう考えても目あってるなあ~とか感じつつ、遠いからわかんねえ。違うかも!って自分に言い聞かせて。

 あと、普通に楽しめたから幸せで帰りはほくほくでした。たった1900円で三時間も楽しめて役者さんが全員で見送りしてくれて、もれなく全員に握手までしてもらって。観客のコスパよすぎだろー!!なんかすげーよかった。僕なんかちびちゃんと馬ぐらいとしか触れ合えない人間ですから、生身の成体の人間と触れ合ったのなんていつぶり?っていう。みなさん手が分厚くてふっくらされていた。帰りはなぜかふれあいをずっと歌っていた。


ふれあい /中村雅俊 High