「この世界の片隅に」(後)ネタバレ感想

 

 ネタバレしてまーす。

 

 


 そんで特に心奪われたのはシラサギのシーンだった。

 これと対して猛烈に違和感があったシーンが玉音放送を聞いたすずさんが泣きながら悔しがるシーンね。周りの大人たちは「あーやれやれ」って虚脱感をみせてんだけど。

 すずさんそっち側?!ってびっくりしてね。あんた周りが大変な時も絵描いてへらへらしてたじゃん。左手でも絵かけるよ?!と。けどいつの間にかいろんな犠牲を負って彼女さえも時代の空気に染められてたんだね。

 ここなんだよ。核は。

 先日僕、バリバラで相模原殺傷事件の回をみましてね。社会貢献できない障害者は殺されても仕方ないみたいなことをまじめに話していた田中さん(まじめにカメラの前に出てたのはすごいと思う)を見てて、正直にいいますよ。悪い意味でまじめちゃんやなと思ったのね。ブラック企業社畜感がぷんぷんしてたよ。

 田中さんの言う社会貢献て、とどのつまり資本主義においての生産性がある人間でいることらしいんだけど、まあ、そういう意味でも障害者だって、彼らがいることで医者とか介護者とか施設とかにお金の流れ発生させてんじゃんともいえんだけど、それ以前の話ってことだよねえ。

 資本主義の価値でしか世界のことみてないんだよこの人。そしてそのことにさえ気づいてない。誰にいつからその価値観を刷り込まれているのかを一度も気づいてないし、考えたことすらないようだった。

 すずさんたちが目の前の畑耕して食べ物作ればいいだけのことができず、飢えていたこととか。死ななくていい晴美ちゃんが死んでしまったこととか、戦時中も虫や鳥は飢えることもなく生きていたこととか、なんで?ってことだよねえ。

 それが資本主義の世の中であるということなんだよ。

 戦争も金儲けのためにやりたいやつがいるくらい、みんな金が稼げることが一番いいことだと思わされてんだよ。環境がぶっこわれて食べ物が慢性的に生産できなくなったときお札はたべられますか?という単純なことにさえ気づけないほど刷り込まれてる。

 僕ほどの人でなしともなると地球視点で人類ぼろくそに言えますよ。

 地球環境にとったら人間なんか害悪でしかないですからね。資源を使いまくりさらに環境を汚し元に戻さず、しかも生産性の高い人間ほど環境に負荷をかける生活してますから、この視点でいえば金持ちほど殺したほうがいいになる。

 そんな、いても害になるだけ人間のそれぞれの個体に優劣なんかつける意味なんかないんだよね。ナンセンス。てゆうか自分ら本人が優劣つけちゃったら最終的にみんな死ね。ということになるんだけど田中さん情けは人の為ならずという言葉の意味を知っているのか。ヒトラーは知らなかったと思うよ。

 

 つまり「この世界の片隅に」はなんかこの世界変だぞ?というモヤモヤポイントをすごい勢いでつかみ取り一撃を食らわせた必殺仕事人映画だったということなんだった。のだった。