思いで語り2

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青森駅

ついた頃、あたり真っ暗。

青森駅終着ならそこらに泊まれるだろうと高をくくっていたら、みな乗り換えに小走りするので、構内から辺りを見回すと町の明かりがまったくないのだ。

真っ暗なのだ。

栄えてねえ!!!ぞっとしながら乗り換えの数分、数秒に弘前か青森港か!二択の賭け。あんぱいの弘前へ乗り換え。

弘前までぞっとするぐらい明かりのない真っ暗闇を電車が激走していたので、内心冷や汗もんだった。しかもなかなか距離があった。

だが弘前でもあせった。一軒目のビジネスホテルの空きがなかった。

二軒目はあっさり取れて安堵した。寝かかったとき同級生から無事着いたか?って心配電話があって、もう寝ろよと返してすぐ寝た。

 

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大八連帯詰め所だったか。ホテルで手に入れたマップで知った建築。明治の建築に目がないのでここを起点に回ろうと決める。

するとちょうど!!!!ジャストちょうど、このお隣、歩いて一分もかからないお隣に、あんちきしょうの下宿したお屋敷がございました。

十代の頃に漠然と、きっと自分はあの人の生まれ育った場所にいつか行かなくてはならないだろうと予感して十年は過ぎ。

この偶然が、この旅はあのひとに捧げるものなのだと腹をくくらせた。

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ここに修治は下宿して高校に通っていた。手前の文机が勉強用で、出っ張りのほうのは小説家になったつもりで同人誌の小説を書いていたデスク。

汗だくの学芸員(修治ギークであろう。説明の熱の入りようが半端ない)が柱に間違った数式がチョークで書いてあるって部屋に入れてくれる。

修治は数学はそんなに強くない。

文机の前に座らせてもらって、張り出したとこに座ってる修治の背中を思い浮かべて、ここであいつは志したんだなと実感すると、こみ上げるものがあって学芸員に気づかれよう部屋を出た。

けっこうやばかった。