クリントずっこい。

 

 

 クリントイーストウッド監督の映画はずるいんだ。

 そんなん絶対、感情移入してまうやん!!という作品しか撮らないんだもの。

 

 グラントリノはあえて映画館では見なかった。

 だって嗚咽してまうのではないかと思ったからだ。

 

 そしてゲオに通いだしてしまったいま、思い出してやっと見た。

 DVD返すときついついまた借りてしまうね。

 今みたいのが、新作ばっかりだったのでまだ我慢。トムハーディがずっと車の運転してるマッドじゃないほうのやつとシェフワゴンのやつ。

  

 さてグラントリノですが、ここ数日、思い出すだけでそこそこ泣いてしまう。

 ネタバレ感想。

 

 とにかくいいシーンが多すぎて好きなとこあげたらきりがないんだけどさ。

 頭の上に神さまが降りてるから頭触っちゃ駄目な民族がいることは知っていたが、それがモン族で、ベトナム戦争後、迫害をうけて難民化していたことはしらなかった。

 そんな複雑な民族問題とか人種とか政治の問題を扱っていながら、あくまで偏屈じいさんの目線から至極シンプルに撮られた映画だった。

 モン族の姉弟がすぐ好きになったんだが、タオの現場仕事帰りの姿がかわいくて仕方がなかった。爺さんに仕込まれた男の会話を駆使してバスで現場に通えるようになった面接シーンとかまじいい感じで、もうなんか親目線でタオのこと応援したくなった。

 前半のかわいいほほえましいシーンからじいさ~ん。じいさん?じいさん!!!じいさ~~~~~んんんん!!!!っていう流れですよね。その流れがもう涙なしではもう。

 なにが悲しいってモン族のギャングが同族の穏やかに前向きにやっていこうとしてる家庭を壊しにきちゃうところだったね。典型的な弱いから群れるくそな連中で、少しでも足引っ張れそうなやつをネガティブな連帯感で囲おうとする、あの嫌なパターンね。僕が一番嫌いなつるみ方のやつだよ。しかもギャング崩れののっぽの首元に「家庭」というタトゥーがはいっている皮肉。

 そんなやつらに関わったばかりに、隣人の家族から切り離すために爺さんがとった行動はベストというかあれしかなかったとおもう。

 殺さなかったのは戦争中に彼らと同じ民族を殺したからで、その罪滅ぼしでもあったんだろうなあ。同時に強烈な反戦メッセージになってる。暴力の応酬はずっと終わらないから覚悟してそれ学んだ爺さんは自分の命を差し出して、タオたちを守った。

 しかもその前に、網越しの懺悔が二つあった。

 頭でっかちの童貞神父には言わなかったけど、地下室に閉じ込めたタオには戦争で命乞いをした無抵抗の相手を殺してそれが称えられ勲章を与えられたことが自分の罪だと初めて自己開示したことで、実の息子には持てなかった愛情と責任がタオに対して生まれた。そこからのあの男の背中。行動で示してみせる。男の中の男だよ!

 なにに対して泣いてるのかわからんくらい泣けてきてしまう。

 立派だった!というのと死なないでタオの成長を見守って!というのと半分くらいずつかな。

 脚本とか演出も素晴らしんだけど、この映画は配役の素晴らしさがひときわだった。

 タオがとにかくかわいくて。あと、スーも利発ないいおねえちゃんでかわいかった。ヤノビッチ神父はリアルに宗教画からでてきた堕天する前のルシファーみたいでずっと不吉やなあとそわそわさせられたわ。爺さんの家でも教会でもヤノビッチ神父が出るシーンは陰影と神父の光の対比が極端すぎて現実感がないくらいの画だった。宗教画の天使みたいな堅物だった神父も後半には人間らしい激情をもって爺さんからいろんなことを学んで豊かな人格をみせてくるんだよ!

 いちいちすごいんだ。

 これみたらしばらくほかの映画みれねーわ。

 もうだからクリントずっこいんだってば。

 あーもーどうすんだよ!

 

 

 ワンパンマンの白人レヴューでジェノスとサイタマ大好きなお兄ちゃんがいるんだが、ついついそれも観てしまう。かっこいい登場シーンが来るときゃあああって女子高生的反応がおもしろい。

 無免ライダーのテレビがブラウン管式ので地味にきた。

 甘いマスクが散髪してたね。